自動テキスト化によるコールセンター業務の効率化を実現

ニッテレ債権回収株式会社 様01

ニッテレ債権回収株式会社 様

課題
交渉記録の作成に人手や時間がかかる。時間短縮をしたい
解決
全文テキスト化による、網羅的かつ客観的な交渉記録作成の平準化と作成時間の短縮がはかれた

全国5拠点250席規模のコールセンターをもつニッテレ債権回収株式会社様では、法律によりお客様との会話内容を正確に記録する必要があり、その交渉記録の作成には多大な時間がかかっていることが長年の課題だった。
そこで、課題解決の手段としてAI音声認識ソリューションの導入による交渉記録の自動作成化の検討を開始し、Hmcomm社の開発したAI音声認識ソリューション「Voice Contact」の導入に踏み切った。
今回は、ニッテレ債権回収株式会社様でシステムを推進していく立場であるシステム部部長の杉本様と、課長代理の梶原様にお話をお伺いした。

交渉記録の作成には多大な時間がかかることが長年の課題だった

コールセンターでAI音声認識ソリューションの導入を検討されたきっかけは何でしょうか?

梶原氏:弊社コールセンターでは、従来、電話を切った後に、録音された音声を聞きながら交渉記録をタイピングで書き起こし、作成する方法を取っておりました。交渉記録の作成には多大な時間がかかり、通話時間よりもかならず長くなってしまいます。
そこで、交渉記録を作成する時間を含む、後続処理にかかる時間をなんとか短縮できないかという課題はずっとコールセンターの中でありました。

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また、交渉の中には30分から1時間かかるようなものもあり、そのような場合、1回の通話と交渉記録の作成だけで、1時間〜2時間もかかるようなことになり、その間は、他のお客様の電話が取れない状態が長時間に及んでおりました。コールセンターとしては非効率な状態でしたので、なんとか後続処理にかかる時間を短くしたいとの思いからスタートしたのが、音声認識によるテキスト化の導入検討をするきっかけでした。

近年AI技術の発展により、AIによる業務効率化が進んできているということもありましたので、ぜひ、業界の先駆者として挑戦していきたいという思いもあり、導入に踏み切りました。

杉本氏:交渉記録というのは、網羅的かつ客観的なものでなくてはならず、自然と文量も多くなります。
また、作成のスピードも技術が必要ですが、その中身についても、文章構成力などが必要になるため、ある種の職人技のようになっていました。後続処理時間の削減もそうですが、交渉記録作成のスキルを平準化していきたいという思いもありました。

導入はいつぐらいから検討されましたか?

梶原氏:冒頭にあったコールセンター業務の課題背景から音声認識技術にはかなり前から注目をしており、会社としては6年ほど前から導入を検討していました。
デモやセミナー等で情報収集を行っていましたが、認識精度の問題から導入になかなか踏み切ることができませんでした。

杉本氏:弊社は業務の性質上、金額や日にちなど正確な数字情報を扱うことが多い特徴があります。日本語ですと、数字の呼び方が色々あり、認識が難しかったため、精度面でなかなかで納得のいくものは出てきませんでした。

しかし、2年ほど前から音声認識技術や自然言語処理の進歩が見られ、セミナーやメディアでも取り上げられるようになり、技術の向上を感じたので本格的に導入の検討を始めました。費用面でも、6年前はかなり高価で手に届きにくいとの記憶がありますが、ここにきてようやく費用対効果の検討ができるようになってきたと思い、導入を検討するようになりました。

導入検討を開始してから実際にするまで、比較はどのよう進めれましたか。

梶原氏:実際に検討から導入までは1年半ぐらいの期間をかけました。
まずは、情報収集から始めていきましたが、知名度やシェアなど先入観にとらわれず、一度フラットにして、どの音声認識ベンダーがいいのかを選定していきました。そこで、まずは5社で比較を行っていきました。

そして、絞らせていただいた5社にお越しいただき、デモを拝見しました。その際、われわれシステムの部署だけで選定を行うのではなく、実際のユーザーであるコールセンター担当者にも参加頂き、選定と同時に音声認識がどういうものなのか、イメージや傾向を掴んでもらうようにしました。

選定のポイントとしては、認識率と技術力を注視しました。
当時、Hmcomm社のコールセンターへの導入実績は少なかったですが、製品自体が優れているかどうかを基準に選定していきました。
特に認識率は重要な指標なのですが、当然ながら100%の認識率というのは難しいことは分かっていました。
その中で、認識精度を補うための機能の有無や、UIの工夫などでどこまで補完ができるかなど、トータルとして製品が優れているかを見極めていきました。
Hmcomm社の製品は、訂正画面でユーザーが修正をすることで、自動的に学習させていくことができる機能があることが選定の際に魅力を感じた部分です。

他社の音声認識ベンダーであれば、ベンダーさんにコストや時間をかけてチューニングをお願いする製品が多い中、ユーザー側で日常的に学習ができるというのは他社をしのぐ大きなメリットでした。

また、Hmcomm社を最終的に選定した理由は、精度や機能面が優れていたことと、比較的安価であったということに加えて、導入までのやりとりの際に足繁く通っていただくなど、対応に誠意を感じたことです。
音声認識は、導入までに実証実験を繰り返し、導入したら終わりではありません。継続的なサポートが必要であり、その後のお付き合いも長くなると思っております。そのため、二人三脚でパートナーとしてやっていけそうかどうかを注視しておりました。
Hmcomm社は、お打ち合わせの中での立ち振る舞いや、技術に対するひたむきな姿勢などから、長く付き合う上で信頼できると感じました。

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杉本氏:音声認識技術についても産総研から音声認識エンジンを譲り受けて、そのまま提供して終わりではなく、自社内で開発と改良を重ね、着実にブラッシュアップされている様子が伺えましたので、将来性も感じることができました。今この時点だけでなく、長く付き合うという点で、他の企業様よりもHmcomm社の方が共感できました。

AI音声認識ソリューションは将来性がある一方で、まだまだ理解が進んでいない分野かと思います。社内への導入はどのように進められましたか。

杉本氏:社内としては期待感が高く、特にコールセンター側からは早く導入を進めて欲しいとの声が上がってきていました。
そのため、社内での推進は比較的楽にできたと思います。

逆にわれわれ導入する側としては、上がりすぎている期待値を抑えて、冷静に費用対効果を見極めていきました。
どれだけ後続処理時間を短くできるのか、逆にどれだけの時間を学習にかけないといけないのかなど、トータルで費用対効果が出るかを検証していきました。

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梶原氏:費用対効果を検証するための進め方としては、POC期間を少し長めにとりました。弊社の中から優秀なオペレーターを5名選抜して、実際に使ってもらい、レビューをしてもらいながら改善を繰り返していきました。

検証の段階からコールセンター側の意見も取り入れながら進めたので、コールセンター側には納得頂いた上で進めていくことができました。なるべく現場を巻き込んで進めていけたのが、今回のポイントだったと思います。

実際の費用対効果というのはどうでしたか。

梶原氏:現在も進行中にはなりますが、使った時と使っていない時で数値にどう影響するかは常に計測しております。
その中でも費用対効果が出てきているのは、比較的通話時間の短い電話になります。通話時間の短い電話であれば、対応履歴に記録することも短くなり、音声認識結果の修正がほぼないので、そのまま残すことができます。
あとは、30分を超える長い交渉になると、交渉記録の作成に時間を割いてしまい、お客様への対応の時間が短くなってしまいます。そこで、ある拠点では交渉記録を作成するため、キーパンチャーを4名採用していましたが、音声の自動テキスト化によって、別の業務に携わることができ、コールセンターの効率化が進みました。

杉本氏:また、弊社のセンターの場合、「言った、言わない」の問題が出てきたりするのですが、会話内容が全てテキスト化されているので、客観的事実としてすぐに確認ができるというのも効果の一つだと思います。
これからもっと効果を出していけるように、社内でも活用方法を常に検討しています。
センター長、SVなどが話し合いを行いながら、現場主導でさらなる活用方法を模索しているところです。

梶原氏:コールセンター側からは当初想定していなかった思いがけない使い方のアイデアも出てきております。例えば、オペレーターの振り返りで活用しているようです。
自分の話した内容を文字に起こすことで、口癖やクッション言葉の使用など、改めて気付くことなどもあり、スキルアップにうまく繋がっていると思います。

また、月1回の定例会で活用方法などに関して、共有する場を設けています。
定期的に共有する場を設けることで、課題の解決や、新しい使い方の気付きの機会になっています。また、そこから出てきた課題や要望は、一度われわれシステム担当の方で取りまとめて、Hmcomm社に相談をしています。

現状の課題はございますでしょうか。

梶原氏:社内文化として、どう現場に浸透させていくかが一つの課題になっています。
システムだけでは完結できず、運用面でカバーしてもらっている部分もあり、ユーザーの中には少なからず抵抗がある方もいるのも事実です。そういったユーザーにも、システムを理解し、どう活用していけるかという発想を持ってもらえるような文化や風土を作っていくのが大切かと思います。

杉本氏:ベテランの方の中には、自分のやり方で交渉記録を作りたい方もいらっしゃいます。
ただ、会社として「交渉記録は網羅的、客観的である」という部分はブレないので、交渉記録の平準化という意味でも、全員が音声認識を使いこなせる状態が望ましいと考えています。

音声認識に期待することはどういったところでしょうか。

梶原氏:やはり、認識率になります。
認識率に関しては、Hmcomm社のさらなるバージョンアップに期待する一方で、弊社としても、運用次第でで上げることができると思います。認識率によってコールセンターのオペレーションもどんどん変わっていきますので、引き続き、Hmcomm社、弊社と両方で協力して、トータルで処理時間を短くし、ユーザーに満足を提供していけるようにしていきたいと思います。

杉本氏:弊社が音声認識に一番期待しているのは後続処理時間の削減部分になりますので、最終的にはその時間がなくなるというのが理想ですね。

また、テキストデータがどんどん溜まっていくと思うので、そちらを分析して、債権回収の効率化に繋げていきたいと思っています。
今は採用難の状況もあるので、非効率な部分はどんどん自動化して、本来人間がやるべき仕事に集中出来るような環境を作っていきたいと思います。

最後に

債権回収の業界にとって交渉記録作成は重要業務であり、作成にかかる後続処理時間の削減が課題である。
ニッテレ債権回収様では、音声認識ソリューションを導入され交渉記録作成時間の削減で着実に成果を上げられている。
成果を上げるには、導入時からユーザーとなるコールセンターの意見を取り入れて業務設計、運用改善を進められた点がポイントだった。
また、今後はシステム側で蓄積したテキストデータを分析・活用し、債権回収業務全体の最適化を図る動きもとられている。
システム側、コールセンター側がお互いの役割を意識し、会社が一体となって進めていくことが音声認識ソリューションの活用においては不可欠だ。

音声認 識ソリューションの取り組みを推進する業界先駆者としてニッテレ債権回収様今後に注目していきたい。